2013年08月24日

問題作成者はこんなところにトラップを仕掛ける

〜メイキングオブTOEICテストPart2

 前述したように、Part2の誤答の選択肢にはいくつかのパターンが見受けられます。

 その特徴的な誤答パターンを以下に挙げていきましょう。例文の上が問題文、下が誤答を誘う典型的な選択肢例です。


 誤答パターン(1) 問題文と回答の選択肢に同じ単語を使う

 【質問文】 Is there a restaurant near here?

 【選択肢】 We had dinner at a nearby restaurant.

 同じrestaurantという単語を使っていますが、質問文は「この近くにレストランがあるか」とたずねていて、選択肢では「近くのレストランで夕食を食べました」となっています。単語だけ同じものを使っていますが、状況は異なっています。



 誤答パターン(2) 同じ単語で異なる意味

 【質問文】 Are you walking to the museum?

 【選択肢】 Yes, I’ll take a walk.

 質問文ではwalkは「歩く」という意味ですが、選択肢のwalkは「散歩」という意味です。

 「歩いて美術館に行きますか?」と聞かれて「はい、散歩します」と答えている、walkという同じ単語を使いながら、問題文と選択肢とで意味が異なる誤答パターンです。



 誤答パターン(3) 時制がくい違う

 【質問文】 How did you get to work?

 【選択肢】 I will take a subway.

 質問文と選択肢の時制が異なっているケースです。上の例のように、質問文は過去の出来事として「どうやって会社に行ったのか」と聞いていますが、選択肢は未来のこととして「地下鉄で行くでしょう」と答えています。

 時制部分を聞き逃すとあっさりひっかかる誤答パターンです。これは裏を返せば、正しく時制を把握していますか?ということです。

 相手の人が昨日のことを話しているのか、今のことなのか、あるいは1週間後の話をしているのかきちんと把握していますか?ということです。



 誤答パターン(4) 主語がくい違う

 【質問文】 When did you call the client?

 【選択肢】 She called me this afternoon.

 質問文と選択肢の主語がくい違っているケースです。例文の質問文では「あなたはクライアントにいつ電話をしたか」と聞いているのに、「彼女は私に電話しました」という答えになっています。

 Iで答えなければならないところをSheとなっているという誤答パターンです。これは裏を返せば、正しく主語を把握していますか?ということです。

 誰の話をしているのか、あるいは誰のことを話そうとしているのか、正確に把握することはとても大切なことです。



 誤答パターン(5) 疑問詞のくい違い

 【質問文】 When is the deadline for this project?

 【選択肢】 Mr. Lopez is responsible for it.

 5W1Hの疑問詞で始まる質問文に対する答えが、その疑問詞に対する回答になっていないケース。

 この場合は質問文ではWhenと締切日を聞いているのに、選択肢の答え方が「ロペス氏が担当者です」とwhoという異なる疑問詞に対する答えとなっています。



 誤答パターン(6) 疑問詞に対する回答がYes/Noになっている

 【質問文】 Where is the annual conference held?

 【選択肢】 Yes, it is in New York.

 これも疑問詞で始まる質問の場合によくある誤答パターンです。5W1Hの疑問詞でたずねているのにYes-Noで答えてしまっているケース。

 疑問詞で始まる質問文では、Yes-Noでは答えません。Yes以下が質問の回答として合っているために、思わず誤答を誘ってしまうパターンです。

 会話のときにwhereとかwhenで聞かれたときにもYes-Noで答えないようにしたいものです。



 誤答パターン(7) 類似した音を持つ単語を使う

 【質問文】 Do you run the law firm?

 【選択肢】 I operate the farm as business in Kentucky.

 類似した音の単語が聞き分けられているかどうかが問われるケース。例文ではfirm「会社」とfarm「農場」という、かなり類似した音を持つ単語をトラップに使用しています。

 発音を聞き間違えると誤答を選びがちです。この類のよくある誤答パターンとしては、このほかにworkとwalkの関係でも見受けられます。



 誤答パターン(8) 派生語を使う

 【質問文】 When will you start managing the Boston branch?

 【選択肢】 I report to the American manager.

 あえて派生語を選択肢で用いているケース。例文のmanage「経営する」とmanager「マネージャー」が派生語の関係で,音も似ているし意味も似ているので誤答の選択肢として使うパターンです。

 以上、他にもこまごまあるのですが、主にはこの8つを使って誤答の選択肢を作っているようです。

 実際のテストでは選択肢は3つありますので、問題を作るときには1つの問題につき複数の誤答パターンを紛れ込ませることは問題作成者にとっては至極当たり前のことです。

 それでは、実際の問題では問題作成者はどのように選択肢にトラップを仕掛けるか、その仕組みを具体例をあげながらごらんいただきたいと思います。



 誤答パターン(1)と(4)
 When will the train to New York arrive?

 (A) I missed my usual train this morning.

 (B) It’s due at 10:30..

 (C) She will arrive here soon.

<日本語訳>
 ニューヨーク行きの電車はいつ到着しますか。
 (A) 私は今朝いつも乗る電車に乗りそこないました。
 (B) 10時半に着く予定です。
 (C) 彼女はすぐにここに着くでしょう。


 私は問題を作る側として、みなさんを惑わしにかかります。

 選択肢(A)は、trainが、日本語にもなっていて聞き取りやすかった人をひっかけるために、同じtrainを使った誤答を用意しました。

 つまりこれは誤答パターン(1)です。この返答は、「いつ到着するか」という質問には答えていないので不正解です。

 選択肢(C)は、主語をitの代わりにsheにしました。主語を正確に聞き取っていない人を惑わすためのトラップです。

 誤答パターン(4)を使いました。会話では、到着するのが「電車」と「彼女」とでは、まったく話の内容が変わってきます。

 ということで、正解は選択肢(B)です。質問の意図と回答の内容をわずか1回でどれくらい正確に聞き取り、正確に答えることができるかを問うために、正解ではあえて、同じ内容を別の表現の英語で作ります。

 ここではIt will arrive at 10:30.をIt’s due at 10:30.「10時半に到着する予定です」に言い換えました。

 同じ意味合いの別の表現を使っても正解できるということは、いろいろな表現の英語を聞き取れたり、同じ内容をいろいろな言い方で表現できる英語力があるということです。

 質問で使われているwill arriveを選択肢でも使って、It will arrive at 10:30.とすると、解答としては安易に過ぎてしまうのです。

 たとえ意味がわからなくても問題文と選択肢の両方で同じ表現を使っていれば当然正解率は上がるでしょうし、同じ表現を2度繰り返し聞けば、1度しか聞かないときよりも格段に聞き取れるようになります。

 これでは正確な英語力は測れません。

 これまで話してきたように、たとえばイギリス人やアメリカ人がこの問題をするとき、多くの日本人と異なるところは、彼らは日本語に変換していないということです。

 彼らの頭の中には、生まれてからそれまでの膨大な英語が蓄積されていて、それと照合しています。

 多くの日本人は質問文を聞いてそれを日本語に変換し、(A)〜(C)の選択肢も日本語に変換します。

 そして変換した「ニューヨーク行きの電車はいつ到着しますか」と「10時半に着く予定です」という日本語同士を比べて、質問に適切に答えていると判断し選びます。

 よくリスニングでは日本語に訳してはいけないと言いますが、単語の意味を日本語でもっているので、聞いた先から日本語に自動変換されます。

 英語を勉強しているのに、気がつくと頭の中は日本語でいっぱいです。
posted by 佐藤 at 17:04| Comment(0) | TrackBack(0) | 雑記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

基礎工事としてのリスニングとスピーキング

 普段のリスニングの学習ですが、まず正しく聞きとれる英語を確実に増やしていくことです。

 その人のレベルにもよりますが、ラジオの英会話講座の基礎英語や続基礎英語のような内容が難しくなく、負担の少ないものをたくさん聞くことを勧めます。

 くどいですが、中学3年までに習うようなレベルの英語を私たちは教科書3冊くらいしか学んでいません。

 その中学レベルの英語を横の広がりのイメージで捉え、たくさん読んだり、書いたり、聞いたり、話したりして、私たちの中にある英語の空洞を埋める必要があります

 また、日本語に訳さなくても理解できるやさしい英語を聞いて、英語だけの世界を作るためです。

1.聞き取った英語を、言われたまま再現する。単純に再現できれば英語を聞きとれていますし、再現できなければその個所は聞きとれていないことになります。
 まず、正確に聞き取れる英語の量を増やすことです。 同時にその内容をイメージしてみることです。


2.ダイアログなどある分量の英語を聞いた場合、何が言われていたのか、英語で説明してみます。ほとんどの人は、今の英語は何て言われていたと聞かれると日本語で答えてしまいます。

 拙くてもいいので英語で説明します。できれば聞き取った英語を使って説明できるといいです。

 日本語の助けなしに英語を理解したい、訳すのではなく聞き取った英語を覚えて、あとで外人と話すときに取っておくためです。

3.1.や2.で英語を発音するとき、特に子音は正しい口や唇、舌の動かし方で発音します。発音の仕方を筋肉に覚えこませます。初めはぎこちなく発音しますが、回を重ねるごとになめらかに動くようになります。


4.それと同時に、英会話学校などに通って、あるいは知り合いに英語を母国語とする人がいるなら、その人と会話の機会を設けます。

 話す機会があれば、英語を話そうと思っても出せない自分がいることを自覚するはずです。何とかコミュニケーションを図ろうとすると、頭の中に英語を蓄えておかなければ対処できないことに気がつきます。

 あるいは単語(日本語で意味をもっている)を1語1語覚えていてはダメだと気がつきます。

 そうすると、文やフレーズの単位で覚え、それを蓄えて、会話で使うようにスタンバイさせておくことが必要だと気がつきます。英語を点ではなくて線でとらえることが大切になります

 例えば日本語で、「考えざる」ときたら「を得ない」と続くでしょう。みんながそう言っているのを何回も聞いたり、何回も読んでいるので疑いなく使っています。

 この文法など考えない、理屈抜きで口をついて出てくる感覚が必要なのです
posted by 佐藤 at 16:53| Comment(0) | TrackBack(0) | 雑記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

こなれた人なら選択肢から問題の意図が読めるPart5

 Part5はボキャブラリーの知識や文法を問う問題で、空欄に当てはまる語句を4つの選択肢の中からひとつ選ぶ短文穴埋め形式です。

 全部で40問あり、1問につき20秒から30秒でこなすのが理想だと言われています。高校・大学の受験やほかのテストでもよく見かけるテスト形式です。

 このPart5の傾向として、文法問題では名詞や動詞を問われることがあります。

 たしかに執筆側に立ってみると、とくに動詞は時制によって形が変化したり、<to+動詞の原形>で不定詞になったり、主語に応じて語尾に3単現の-(e)sがついたり、受動態で過去分詞形になったり、動名詞や分詞でing形になったりとテスト問題の宝庫であるだけに、問題作成がしやすいところではあります。

 またこれは受験者の実力になることではないのでけっしておすすめできないのですが、Part5の問題の中には、ある程度の文法の知識があれば、選択肢を見ただけで何が問われているのか予想をつけることが可能なものがあります。

 そこで、このPart5では執筆者はどんなトラップを仕掛けていくのか、また、私が受験者だったら選択肢のどの部分に注目して時間短縮を図るか、動詞の変化を取り上げて説明しようと思います。


【後置修飾】

 Recycling more than million cell phones (      ) green house emissions.

 (A) reduce  (B) reducing  

 (C) reduces  (D) reduction

 主語の後ろに、その主語を説明する句が入ってきて、その主語に呼応する動詞が後ろに追いやられることで、その動詞の主語がどれなのかきちんと把握しているのか問う問題です。

 私ならまず、意図的に( )の直前に名詞がくる(この場合 cell phones )例文にし、その名詞に仕掛けをします。

 この例題の場合、reduce に対する主語は recycling で単数扱いなのですが、直前の名詞を主語だと思う人もいます。

 そこで、( )の直前にあえて複数名詞をもってくることで、reduce と reduces のどちらがいいですかという問題にします。

 さて、もし私が受験者なら、問題文を見る前に選択肢に reduce と reduces を見つけた段階で、主語と動詞の関係を問うている問題ではないかと見当をつけます。

 さらに( )の前に名詞の複数があるのでたぶん reduces が入ると推測し、確認のため内容を読んでいきます。


【能動態と受動態】

 The discussion on the budget (      ) at the meeting yesterday.

 (A) make  (B) made  (C) was made  (D) making

 私が受動態の問題をつくるとき、やはり主語との関係で、「する」のか「される」のかを問います。上の問題で言うと、「議論」は「した」のか「された」のかです。

 そこで選択肢には made と was made の両方を入れておきます。

 ということは、問題作成者の心理を考えると、選択肢にその2つがある場合、私なら受動態の問題ではないかと見当をつけ、(B)と(C)から考えていきます。

 「議論」というものが自分で何かをすることはないので、「議論」は「された」と考え、(C)だと判断します。
posted by 佐藤 at 16:38| Comment(0) | TrackBack(0) | 雑記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

「読む」「書く」「話す」「聞く」力をはかる英検

 英語能力を測定する試験としてTOEICと並び称されるのが、英検(実用英語技能検定)です。学生時代に受験されたことのある方も多いのではないでしょうか。

 英検は実用英語技能検定という名の通り、英語の「読む」「書く」「話す」「聞く」力が実用できるかを総合的に測る検定試験です。設立当初は1級、2級、3級の3つの級のみでしたが、現在はそれに準1級と準2級、4級と5級が加わり、全部で7つの級に分かれています。

 TOEICと同様、ある一定以上の級を所持している人は、入試の際に優遇される高校や大学も多く、学生を中心に毎年約250万人が受験しています。

 ちなみにレベルの目安としては、5級が中学初級程度、4級が中学中級程度、3級が中学卒業程度、準2級が高校中級程度、2級が高校卒業程度、準1級が大学中級程度、1級は大学上級程度となっています(英検公式サイトより)。

 英検とTOEICのいちばんの違いは、英検は級ごとに異なるテストを受験しますが、TOEICは受験者全員が同じテストを受けるということです。つまり、英検1級の人も5級の人も、TOEICでは同じテストを受けるということです。

 執筆者としてはレベルを考えて作らないTOEICのほうが文法や単語の制約をほとんど考慮しないので、その点では作りやすいですが、英検は過去問があるので、何を基準にして作ったらいいのか過去問を見ながら作れるので迷うことは少ないです。
posted by 佐藤 at 12:38| Comment(0) | TrackBack(0) | 雑記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

過去問題を入手できる英検

 一方、英検の場合は、受験者は問題用紙を持ち帰ることができますし、過去問題は書籍としても市販されています。それを見ながら傾向や対策を立てられるので、模擬試験問題をつくることは、ある意味 TOEIC よりは容易です。

 ちなみに英検の場合、私がこれまで手がけた級のうちもっともつくりやすかったのは2級でした。日本の英語教育システムでは高校までにほとんどの文法を習うため、高校卒業程度のレベルの2級では、文法の制約がなく自由に書けます。

 また、単語や熟語も、準拠版のようにまだ習っていないから使えないという制約がないので、極端な話、私がこの単語を使ってもいいと思えば使うことができます。そこは書き手の裁量1つです。

 とはいえ、3級と2級と準1級の模擬試験問題を同時期に作成したときには、さすがに大変な思いをしました。それぞれの級の試験問題に目を通すと、級が上がるにつれ、英語の難易度が上がっています。

 ところでこの難易度とはいったい何なのでしょうか?確かにテストによって難しいものもあるし、簡単なものもあります。

 また、ある人にとって難しいと感じる問題でも、別の人には簡単だという問題もあると思います。客観的な基準があるわけではないので、何とも捉えどころのない言葉です。

 英検の場合、学校の英語教育と並行するようにテストが作られているので難易度を出すとき、学校英語と同じように1つには文法を利用します。

 たとえば実際の英検の問題では、学校の英語教育で難易度の高いとされる仮定法や分詞構文を用いた文などは、当然ですが4級や5級など初級レベルでは出題されていません。

 また、単語については明確な単語制限があるわけではないのですが、require や indicate などは使われていません。おおよそ中学中級程度の人には使わないだろうという暗黙の了解のようなものがあります。

 ですから英検の問題をつくるときは、上級になるほど難しいという印象を与えるようにつくります。扱う文法事項や単語・熟語などを使い分けることで、はっきり難易度をつけることも方法の1つです。

 そしてもう1つ、目に見えてはっきりわかる難易度のつけ方が、日本語とは大きく異なる要素を取り入れることで、1つの文の長さを長くすることです。

 それでは、英検の級の難易度の差をつけるためにどのような手を使うか、Students use the Internet.という第3文型の文章を基本にして具体的に作ってみましょう。
posted by 佐藤 at 12:35| Comment(0) | TrackBack(0) | 雑記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

メイキングオブ各級の英文

【基本文】

Students use the Internet.(中学1年生レベル)

【3級】

 Nowadays most students use the Internet to find information.

 Nowadays や to find information をつけて英文を長くしました。多くの人は英語を日本語に変換して、英語の語順を日本語の語順に変えて理解するので、英文が長くなれば長くなるほど混乱しがちです。


【準2級】

 Most students (learning English) make use of the Internet to search for study materials.
「英語を学ぶ学生のほとんどは、教材を見つけるためにインターネットを使います」

 名詞を後ろから説明するという語順が日本語にはありません。learning English を書き足すことで、日本語に変換しながら英語を理解する人に対して意味を取りづらくします。

 裏を返せば、日本語にない感覚をしっかり身につけることが英語習得の早道の1つになります。


【2級】

Forty-five percent of students (that major in Greek literature) make good use of the Internet to search for materials (related to their assignments).

「ギリシャ文学を専攻する学生の45パーセントは、宿題に関連した資料を探すためにインターネットをうまく利用します」

 やはり名詞を後ろから説明する関係代名詞節 that major in Greek literature や、分詞の related to their homework を書き足すことで、難易度を上げようと意図しました。

 私の経験上、中3で関係代名詞や現在完了時制がわからなくて英語につまずいた人が少なからずいることを知っているからです。

 日本語と大きく異なる要素を積極的に克服することが英語を上達させる近道になります。名詞を後ろから説明するという語順は、特に一方通行に流れてくるリスニングでは苦戦するところです。

 a boy  talking on the cell phone

 a girl  with long hair

 a restaurant  which opened last Saturday

 など、名詞を後ろから説明するものを見つけたら、目で見ないで言えるように何度も口に出して、後ろから説明するという語順に慣れましょう。

 点ではなく線のイメージでとらえ、スピーキングやライティングで使えるように英語を意味のまとまりで覚えましょう。
posted by 佐藤 at 12:26| Comment(0) | TrackBack(0) | 雑記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

背後に日本語が見える英語

 もう1つ難易度をつけるときに意識することがあり、それが「背後に日本語が見える英語」です。特にやさしい印象を与える英文を作るとき、背後に日本語を見せることを心がけます。次の英文を見てください。

@The glaciers in this area are too small to affect sea level remarkably, whereas they offer insight into what will happen when climate change spreads to the regions where glaciers are larger.

 上の英文は環境問題を扱う英字の新聞や雑誌の記事にありそうな文です。大学入試で扱うような英文と言ってもいいかもしれません。(私の主観です)。

 これを1語1語日本語の意味をもとに直訳すると、

「この地域の氷河は小さすぎて、(氷河が融けても)著しくは海水面に影響を及ぼしませんが、一方、もっと氷河が大きい地域に気候変動が広がると何が起こるかにその(小さな)氷河は洞察を提供します」

のように、( )内の日本語を補足しても、ぎこちない日本語になります。

 私たちのほとんどは、英単語の意味を日本語で覚えているので、読んだ先から頭の中で日本語に自動変換し、その変換した日本語で意味を取るというプロセスをとっています。

 そこで日本語に変換していったとき、その日本語がわかりづらいと、私たちはその英文を理解しづらいと思いがちです。

 つまり1つ1つ日本語に訳していったときに、より自然なわかりやすい日本語が背後に見えれば、容易に理解できるようになります。

 では日本語に変換したときにわかりやい、日本語っぽい英語を意識して、上の英文を書き換えてみましょう。高校1、2年の問題風にアレンジします。

 @The glaciers in this area are so small that sea level doesn’t change a lot, but we can learn from them what will happen when climate change spreads to the regions where glaciers are larger.

 「この地域の氷河はとても小さいので、(氷河が融けても)海面はあまり変動しません。しかしその小さな氷河(の様子)から、気候変動がもっと大きな氷河の地域まで広がるとき何が起こるか知ることができます」

 they (= the glaciers in the area) offer insight into は「無生物主語」の文で、直訳すると「その地域の氷河が、将来何が起こるかに洞察を提供する」となります。

 単語も難しく、直訳したときに日本語らしい日本語にならないので私たちはわかりづらいと思います。

 そこで we can learn 〜 from them 「その氷河から私たちは〜を学ぶことができます」とし、無生物主語をやめて、人(we)を主語にして日本語に訳しやすいように(=背後に日本語が見えるように)書き換えました。

 また to affect sea level remarkably は、affect の主語(The glaciers in this area)が離れていてわかりづらいと思い、too 〜 to do 構文をso that 構文にしました。

 また主語と動詞がすぐわかるように sea level doesn't change a lot 「海面はあまり変動しません」としました。

 さらに change のほうが「チェンジする」のように日本語としても使われていて、affect より馴染みがあり、意味もとりやすいと判断して変えました。whereas も but に変えました。

 単語に関しては、子ども向けの洋書も change や learn のような基本的な動詞や、but を使うようにして作っていると思います。

 英語の単語を1つ1つ日本語に訳していっても、あまり違和感のない日本語になるように意識しながら書き換えてみました。日本の英語レベルの物差しで言ったら高校1,2年か英検でいったら準2級くらいでしょう。(私の主観です)

 英語を勉強していても、頭の中では変換した日本語で考えているので、内容を理解するときに日本語に左右されていることがわかると思います

 また、日本人が話す英語は理解しやすいとよく言われます。やはり普段の思考は日本語で行い、その日本語をもとにして、文法的に正しい英語を言ったり書いたりするので、背後に日本語が見えるのでしょう。
posted by 佐藤 at 12:18| Comment(0) | TrackBack(0) | 雑記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

マークシートが生む誤解

 昨今、TOEICでも英検でも大勢の人が受験するのでマークシート方式を採用しています。これは採点者の側に都合のいいテスト形式です。

 一度に多くの人が受験するようなテストは、採点をするのに時間がかかるので、機械処理にして効率を上げています。そのためテスト問題では、答えが1つになるように意図的に作ります

 先ほどのI like to play the piano.の場合、

 I liked (   ) the piano when I was a child.

 (A) play          (B) to play
 (C) played         (D) plays

 のように、動名詞の playing を意図的にはずします。

 ある動作をすることが好きという場合、like のあとに to do といっても doing と言ってもいいというのは文法書に明確に説明されているのでいいのですが、前にも述べた冠詞は文脈次第で an でも the でもなり、答えが1つにならずマークシートの問題には適しません。

 ちなみに冠詞ですが、基本的には、特に「その」と特定できる(もしくはしたい)場合は the を、特定できない、もしくは別に特定する必要がない場合は a[an] をつけます(もちろん不加算名詞には a[an] をつけません)

 The earth goes around the sun.

 earth や sun のように「唯一のもの」には the をつけると習います。

 ただ、冠詞の場合、話し手次第でどちらでもいい場合もあります。

 「私は品川のアパートに住んでいます」というとき、品川にアパートがたくさんあって、そのうちの1つに住んでいるととらえ、

 I live in an apartment in Shinagawa now.

 のように、an apartment としてもいいです。

 また、たとえば

 I have an apartment in Yokohama and another in Shinagawa.

 という前ふりがあって、その後で、

 I live in the apartment in Shinagawa now.

 とあれば、アパートが2つあって、そのうちの品川にある「そのアパート」に今住んでいると考え、the apartment にします。

 つまりこの文を言っている人は、限定できているその品川のアパートととらえています。

 その話し手がアパートを複数あるうちの1つとして話しているのか、限定して話しているかで、the にも an でもいいことなります。話す人次第です。

 ところが下にあげたような問題では、文脈がないので an でも the でもよくなります。そこで答えがひとつになるように選択肢を操作します

 I live in (     ) apartment in Shinagawa.

 (A) some          (B) a
 (C) an           (D) a few

 見てわかるように、選択肢として the を用意しないことで答えを1つにします。そうすると学習者の中には、この文では an でなければいけないと考え、the は間違いだと思い込む人もいます
posted by 佐藤 at 10:29| Comment(0) | TrackBack(0) | 雑記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

TOEICの点数と英語力

 今、巷で流行っているTOEICで考えてみます。時折、点数が高いのに職場で外人とうまくコミュニケーションがとれなかったり、メールでうまくやりとりできない人がいます。

 TOEIC は時事やビジネス関連の話題を多く扱っています。

 おそらく多くの日本人がテストで扱われている英語を英語のまま理解できないので(学生の頃、そういう回路を作っていないので)、英単語の意味を日本語で覚え、頭の中で日本語に自動変換して、その変換された日本語で内容を理解するプロセスをとります。

 これはとりもなおさず、大学受験と同じ回路です。

 TOEICテストではリスニングとリーディングからなっています。英問英答の形式で、いかにも英語だけでテストを行っている感じです。ところが頭の中は日本語でいっぱいです。

リスニングとリーディングのテストを行っているときの脳の動きを見てみましょう。

リスニングのテストでは英語を聞いた先から日本語に変換し、変換した日本語で考えて答えます

リーディングでも英文を読んだ先から日本語に変換し、変換した日本語で内容をとります。

リスニングもリーディングも質問は英語でなされますが、質問文を読んだ先から日本語に変換し、変換した日本語で何を問われているのか理解します。

 目の前には英語だけがあるのですが、肝心の頭の中は変換した日本語でいっぱいなのです。そして、その変換した日本語でテストを行っています。

その結果として頭の中に英語が残らないので、英語を話そうと思っても対応できなくなります。

 ある意味、TOEICも大学受験の長文読解のように、英語を英語の理解できないので、受験者に英単語の意味を日本語で覚えるように要求している気がします。

 つまり私たち日本人は、英語を身につけようと努力はするけれど、永遠に自動翻訳回路を通した日本語でしか、英語を理解できないのです。

 そして、結果として、英語が蓄積されず、英語を書いたり話したりすることができない袋小路に陥っているのです
posted by 佐藤 at 10:20| Comment(0) | TrackBack(0) | 雑記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

テストを目標にしていいのか?

 その人の英語力にもよるのですが、TOEICでも英検でもテストを英語学習の目標にすることが、英語学習を阻害していると思っています。

 これらのテストも大学受験と同じで、アップ、アップと縦のイメージで英語を勉強してしまうからです。

 TOEICでいったら400点から500点へ、そして500点とったら600点へと上を目指します。英検も3級に合格したら準2級、準2級に合格したら2級と級を上げて難しいもの、難しいものにチャレンジしていきます。

 内容が難しいので英語を英語のまま理解できず、単語の意味を日本語で覚え、読んだり聞いた先から日本語に変換し、変換した日本語で意味を取るので、英語が蓄積されません。

 半分日本語の状態で上を目指すので、スピーキングやライティングに対応できず、中途半端な状態の英語で悶々とします。


 ではどうしたらいいのでしょうか?

 偏差値教育でアップ、アップのイメージで勉強しましたから、簡単なことを数多くこなすことを省いてきました。

 以前も述べたとおり、近代化を急いだ名残です。下手をすると中学レベルの英語は中学生の教科書3冊分くらいしかやっていません。

 まずはアメリカなどの小学生以下の子どもが読む本を読んだり、聞いたりすることをおすすめします。そして読んだり聞いたりしながら、その簡単な内容の英語を自分でも言うことができるように、少しずつ頭の中に英語を残そうとすることです。

 そこで必要なのは英語を縦のイメージから横のイメージに変えることです。

 今見てきたように、学校教育は偏差値でレベル分けするので、縦のイメージで英語を捉え、1つ終われば次にはもっと難しいもの、それが終わればさらに難しいものにチャレンジし、克服することを求められてきました。このイメージが皆さんの中に根付いています。

 私は語学、特に会話というのは本来、縦よりも横の広がりのイメージのほうが合っていると思っています。先ほどの氷河の話題のAの英文のイメージです。

 空港や機内、図書館などで使う単語や表現にレベルの差はありません。また学校で起こった出来事を話したり、家族のことを話したりするときに、レベルをつける必要があるのでしょうか。

 それよりも私は、横へ横へと興味の対象を広げ、いろいろな表現を身につけることのほうが語学(4技能を学ぶ)にとっては大切なことだと思います。

 中学2〜3年や高校1年ぐらい、英検でいったら3級や準2級ぐらいまでのものを、またOXFORD BOOKWORKS LIBRARY で言ったらレベル1や2の英文をたくさん読むこと、そしてラジオ番組で言ったら基礎英語や続基礎英語をたくさん読んだり聞いたりすることをおすすめします。

一生これをするわけではありません。ある時期、日本語を外し、英語を蓄積させる回路を作るのです。

いままで学校教育で生じた空洞化を埋め合わせる必要があるのです。
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テストからこぼれ落ちる英語

 執筆者の側から言うと、口汚い言葉、人を傷つける言葉など意図的に排除します。

 離婚や借金などで言い争う場面などほとんど見かけません。文法的に説明できない文も排除します。

 また、本を作る過程で日本人校正者やアメリカ人やイギリス人のチェックが入って、テストにふさわしくない英語を排除していきます。

 ただ、人生楽しいことばかりではなく、自分に対し不愉快な言葉を投げかけられたり、相手に不愉快な言葉を投げかけたりしながら人は生きています。

 テストの勉強だけでは、こういうネガティブな話題において、ほとんどコミュニケーションが取れなくなってしまいます。

 テストからこぼれ落ちる英語はたくさんありますが、表面だけの清く正しい英語だけでなく、生活全般を考えて学んでいこうと思うなら、そういうテストからこぼれ落ちる英語も意識して、テストで扱われる英語プラスαを身につけましょう。

 あるいはいっそ、鎌倉検定や世界遺産検定のように、映画英語検定や海外ドラマ英語検定などを作って既存のテストからはこぼれ落ちる英語の検定試験でも作ろうかしらと思ったりもします。
posted by 佐藤 at 08:25| Comment(0) | TrackBack(0) | 雑記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

語順という大きな壁

 英語に日本語をリンクさせると語順が身につきづらくなります

 英語を話したり聞いたりすることができないという場合、英語の語順で内容を把握したり、正しい語順で英語を言うことができないことを指している場合があります。

 日本語を勉強しているアメリカ人に聞いてみたことがありますが、やはり語順に戸惑うと言います。

 日本語と英語の語順がどのように違うか、簡単な例文をあげてみましょう。

私は   毎朝       6  時に  起きます。
|    |       |  |    |
I   every morning six  at  get up.

 I  get up  at  six  every morning.

 上の図でわかるように、頭に浮かんだ日本語を1つ1つ英単語に変換してそのまま言うと、I every morning sit at get up. となります。パッと見英語ですが、語順は日本語の語順です

これを英文のルールに従って、 I get up at six every morning. と正しい英語にして言います。

 英語の場合は「誰が・どうした」という結論が先に来て、そのあとに結論に付随する目的だとか細かな事柄が続くことが多いですが、日本語の場合は、最後まで聞いたり読んだりしないと結論がわからないような語順になっています。

 私たちは日本語の語順で言葉を理解していきますが、英語を母国語とする人たちは英語の語順で目や耳を通して情報をとって、理解しています。

 ところが私たち日本人は、英単語の意味を日本語で覚えているので、英文を読むとき日本語に変換します。つまり英語を読んでいるのに、実は日本語の語順で理解しています

 読むときは英文が目の前にあるので、日本語の語順に合うように後ろを読んで前にもどることができます。一度で内容を理解できなくても、何度も行ったり来たりして日本語の語順で理解できます。

 これがリスニングの場合だと、英語が一方向に押し寄せてきます。これに対し日本語に訳している時間などないから、英語のまま理解しなさいと言います。

 ところが英単語の意味を日本語で覚えているので、本人の意思に関わらず、英語を聞いた先から日本語に自動変換されてしまいます。そして文法を使って正しい日本語にし、日本語の語順で理解していきます。

 このプロセスを経ているうちに次の英文が来て、追いつけず理解できないまま、さらに次の英文が来てお手上げとなります。

 話すときにも、どの順番に英語を話して言っていいのか混乱した経験はあると思います。


〈対策〉
 英語の語順を身につけるには、単語から日本語を徐々に外し、たくさん英語を聞くことです。そうすることで英語の語順のままで理解していく型のようなものが身につきます。

 英語のリーディングでは自分のスピードで読めますが、リスニングでは、自分のスピードではなく、否応なく話し手のナチュラルなスピードで理解することを求められます。

 しかも後戻りができないので、耳に入ってきた英語を耳に入ってきた順に、つまり英語の語順で理解することを求められます。これが英語の語順で理解する回路を作り上げていくのです。
posted by 佐藤 at 08:21| Comment(0) | TrackBack(0) | 雑記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

理解力も速くなる

リスニングは語順に慣れることにも最適ですが、理解力を速めることにも最適だと思います。英文を読むときに、なるべく速く読もう速く読もうと思っても、所詮は自分の読むスピードの域を出ません。少しずつは早くなると思います。

 ところがリスニングでは、自分の理解する速さよりも速いナチュラルなスピードの英語が一方通行に次から次へと流れてきます。この速さについていかなければなりません。

別の言い方をすると、ナチュラルな速さで理解するように強制されているとも言えます

このスピードに慣れるには頭に入ってくる英語をナチュラルなスピードで次から次に処理するしかありません。たいていの人は処理できずに、頭がシャットダウンしてしまいます。

ただ、これができるようになると、今度は英語を読むときにも、頭に入ってきた英語をナチュラルなスピードで処理することができるようになります。

 理解力を速くするには1つの英文を聞くことよりも、分量のあるダイアログやモノローグを聞いて次から次に押し寄せる英語を処理する速度を上げることです。


posted by 佐藤 at 08:06| Comment(0) | TrackBack(0) | 雑記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

長文読解用の英語を学ぶということ

 日本人は「西欧文明を吸収するため」とか「立身出世のため」に英語から日本語に翻訳する技能を身につけるように学びました。

 翻訳とは、外国語で書かれた書物を日本語に訳し、その日本語を使って書かれた内容を日本人にわかってもらうことです。つまり、学校教育で翻訳を学ぶということは、英語を使ってコミュニケーションをとる相手が日本人であったということです。

 言い方を変えると、英語を使って外国人とコミュニケーションをとる気がなかったということでもあります。

 「英語」と聞くと、何か海外に出て外国人と英語でコミュニケーションを取るイメージがありますが、翻訳なので訳したものを相手に一方的に伝えるだけです。

 しかも相手が日本人なので、英単語の意味を日本語で覚え、読んだ先から全部日本語に自動変換する技能を身につけることはとても理にかなったことなのです。

 翻って現在、「英語ができる人はどういう人?」と聞かれると、「英会話ができる人」を思い浮かべる人が多いのではないでしょうか? 多くの人が英語を学ぶなら、英語を使って会話をしたいと望んでいます。

 ところが学校で学んだ英語は、ざっくり言うと長文読解(翻訳)に適応できる英語です。英会話を身につけようと思って、学校で学んだときと同じようなやり方で英語を学ぼうとすると、無自覚のうちに長文読解(翻訳)に適応する英語を学んでしまいます。

 それは足腰を鍛えようと思って、腕立てをしているのに似ています。足腰を鍛えるにはヒンズースクワットなどをするべきです。

 大きな意味では体は鍛えていますが、鍛えている箇所が異なるのです。英語も同じです。

 大きな意味では英語を学んでいますが、鍛える技能が異なるので、自分が身につけたい英語と、実際に身につく英語にズレが生じているのです。

 学校教育を出たあとに翻訳や通訳の技能を身につけたいなら、学校でやった英語の学び方でうまくいきます。そうでないなら、日本語を補助輪のイメージとして捉え、徐々に外していくことが必要になります。

 外国語を学ぶということがどういうことなのか、もう一度考える時ではないでしょうか? 

 日本人が外国語を学ぶとき、日本語との距離感をどうするのか、つまり現在、一つ一つの英単語に必ず日本語の意味を添えていますが、これでいいのかということです。

 別の言い方をすると、英語を学ぶときに母国語である日本語をどうするのか、つまり英語とリンクさせるのかさせないのか、その選択を迫られているように思います。
posted by 佐藤 at 07:58| Comment(0) | TrackBack(0) | 雑記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

まとめ

日本人の多くは近代化を急いだ結果、半分英語で半分日本語の英語をもっています。この英語をネイティブが使っている英語に切り替えるときに、3つの点をしっかり自覚することが大切です。

1.日本語を補助輪のイメージとして捉え、外す。

2.縦にアップするイメージではなく、横に広がるイメージで捉える。

3.英語を点ではなく、点 → 点線 → 線 → 流れのイメージで捉える。

 この3点を実現するために、日ごろどういう意識で学んでいったらいいのか、今まで述べてきたことを箇条書きにして記しました。参考にしてください。


<単語>
・単語を日本語で覚えない。
 単語は補助輪のイメージで捉え、徐々に外していく。
 英英辞書やPICTURE DICTIONARYの活用。
 feedやaward、provide、assignなどは、ゆるくgiveと覚える。

・単語の発音の仕方を正しく覚える。
 発音記号を読めるようにする。
 正しい口の動かし方を筋肉に覚えこませる。


<文法>
・日本語に導くように覚えない。
 洋書の文法テキストを使って、日本語を介さず理解し、運用できるようにする。
 できれば文法事項を含む簡単な例文は、CDなどで聞き、自分でも声に出して、覚えてしまう。


<会話(スピーキングとリスニング)>
・まず、英語を話したり書いたりする機会を設ける。
 英語を話そうとしたり、書こうとすると、それができない自分がいることを痛感します。このままではいけないと思い、その状況に適応するように、英語を蓄える必要性を感じます。

そうすると、英語を読んだり聞いたりするときに、英語そのものを蓄積させるようになり、その蓄積させた英語を会話で使うことになり、4技能がいいように循環し始めます。


<リスニング>
・音の変化に慣れる。
 変化する音を扱っている教材を用いて学ぶ。

・ラジオ番組の基礎英語や続基礎英語などの教材を使う。
 初級レベルの英語で語順に慣れ、英語を英語のまま理解するにはちょうどいいと思います。聞き取った英語をそのまま覚え、なるべく日本語訳は見ないことです。

・ituneのVOAやESLの番組を使う。(どちらも無料)
 VOAは語数制限がされています。少しゆっくり目に話されるので、次から次に押し寄せてくる英語も少し余裕をもって聞くことができます。

政治、経済から、医療、歴史、科学、教育、農業、エンターテインメント(音楽、絵画、演劇、映画、スポーツなど)、short storyなど、いろいろな分野の英語を聞くことができます。

ただ、語数制限がされているとは言え、かなりの語彙力が必要なので、ボキャブラリーの少ない人には難しいかもしれません。また、もうこれでは遅いと感じたら、速度調整で2倍速にもでき、スクリプトも載っていますから、内容を確認することもできます。

English as a Second Language Podcastも、少しゆっくり目に英語が読まれています。こちらも話題が多岐にわたっていますが、ダイアログが多く、普段アメリカで使われている英語を聞くことができます。

日本の英語教育からこぼれ落ちるような英語も多く扱われているので、おすすめです。

速度調整もできます。ナチュラルな英語に慣れる前段階として、この若干スローな英語で慣らすのもいいと思います。

・ナチュラル英語も聞く。
ナチュラル英語を聞いて、リスニング力がついたか確認したいところです。


<スピーキング>
・独り言を英語にしてみましょう。絶えず頭に英語をのぼらせておくようにしておくと、いざ英語を言おうと思ったときに、出やすくなります。

・ある程度分量のある英語を聞いて、その内容をほかの人に英語で説明しましょう。実際に聞き手がいなくてもかまいません。そこで使われている英語を使って自分なりに言うことで、内容をより深く理解しますし、1度使った英語は長く頭に残り、溜まっていきます。


<リーディング>
・当面はリスニングの時に使うスクリプトを読むぐらいにして、リスニングに役立つように英語を読みます。多くの人は学校の授業で、英語を聞くよりも、たくさん読むことに時間を割いています。

つまり英語を聞く量が、読む量よりもかなり少ないのです。だから、まずはリスニングの能力をリーディング並みに上げることを目標にしましょう。読んでわかる英語は、聞いてもわかるようにすることを心がけます。


<ライティング>
・日記などをつけて書く機会を設ける。書くことが大事で、書いていくうちに徐々に正しい英語に修正していきましょう。英語を聞いたり読んだりした時に、使えそうな英語は覚えて、日記で使っていきましょう。

・facebookなどに参加してコミュニケーションに参加する。相手の英語を音読して覚えていきましょう。


<学校教育からこぼれ落ちる英語>
・実際に外人と話す。
・DVDで映画や海外のテレビドラマを見る。

 英語字幕を出しながら見て、登場人物になったつもりでセリフをそっくり真似て言ってみましょう。最終的には字幕なしでも理解できるようにしましょう。

 英語を横のイメージで捉え、いろいろな英語を習得できたら、縦のイメージにして、レベルを少しずつアップさせいきましょう。
 
 以前、難しいと思っていた英語でも、日本語の助けを借りずに、段階を追って理解していくことで、そんなに難しくなく、あるいは簡単に思えてきます。
posted by 佐藤 at 07:47| Comment(0) | TrackBack(0) | 雑記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

最初の学習指導要領

 英会話を身につけたいと思う人が増え、でもなかなかうまく行かない苛立ちがそこかしこに蔓延しています。ここに第一回の学習指導要領があります。とても興味深いので載せておきます。

 終戦を迎えた昭和20(1945)年、マッカーサーを総司令官とする連合国軍最高司令官総司令部(GHQ / SCAP)による占領がはじまります。

 そして同じ年に米国教育使節団が日本にやってきて、日本の教育方針が示されました。そして2年後の昭和22(1947)年、日本全国のどこでも同じ質の教育が行われるようにと、最初の学習指導要領(試案)が作成されます。

 その中に「英語科教育の目標」として、以下のような記述があります。

一.英語で考える習慣を作ること。

 英語を学ぶということは,できるだけ多くの英語の単語を暗記することではなくて,われわれの心を,生まれてこのかた英語を話す人々の心と同じように働かせることである。この習慣(habit)を作ることが英語を学ぶ上の最初にして最後の段階である。

 英語で考えることと翻訳することとを比較してみよう。前者は英語をいかに用いるかということを目的としているが,後者は古語を学ぶときのように,言語材料を覚えることに重点をおいている。前者は聴き方にも,話し方にも,読み方にも,書き方にも注意しながら英語を生きたことばとして学ぶのに反して,後者は書かれた英語の意味をとることにのみとらわれている。ここにおいて,英語で考えることが,英語を学ぶ最も自然な最も効果的な方法であることは明らかである。


二.英語の聴き方と話し方とを学ぶこと。

 英語で考える習慣を作るためには,だれでも,まず他人の話すことの聴き方と,自分の言おうとすることの話し方とを学ばなければならない。聴き方と話し方とは英語の第一次の技能(primary skill)である。


三.英語の読み方と書き方とを学ぶこと。

 われわれは,聴いたり話したりすることを,読んだり書いたりすることができるようにならなければならない。読み方と書き方とは英語の第二次の技能(secondary skill)である。そして,この技能の上に作文と解釈との技能が築かれるのである。


四.英語を話す国民について知ること,特に,その風俗習慣および日常生活について知ること。

 聴いたり話したり読んだり書いたりする英語を通じて,われわれは英語を話す国民のことを自然に知ること(information)になるとともに,国際親善を増すことにもなる。


この「英語化教育の目標」では、英語の4技能を習得しようとしています。

 『一.英語で考える習慣をつくる』 とは、日本語を介さない、つまり英単語の意味を日本語で覚えずに、英語を英語のまま理解することです。

 また、『二.聞き方と話し方』 とは、英語の第一次の技能であると認識しています。つまりリスニングとスピーキングをはじめに勉強しなさいということです。
 人類の歴史から見ても、初めは話したり聞いたりしてお互いコミュニケーションをとっていました。それがある時から世界の成り立ちのような神話を書き残しておこうとします。

 それを人々が読むという順番で言葉が発達してきました。まず話したり聞いたりするのを優先すると言うのは至極もっともな気がします。

 また一人の人の言語を獲得するプロセスを見ても、赤ん坊はお父さんやお母さんが話すことを聞いて、それを頭の中に蓄積させて徐々に発声していきます。初めから読み書きする赤ん坊はいません。

 終戦直後の学習指導要領が、2013年の人たちにも当てはまるとは、日本の英語の特殊な事情が垣間見ます。
posted by 佐藤 at 07:33| Comment(0) | TrackBack(0) | 雑記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2013年08月23日

<イスタンブール,3つの物語>

東京,某月某日 21時52分。

 アヤカ、友だちが北欧でオーロラを見る旅行に行く。うらやましく思う。

 シュルシュルシュル....バーン。バッ。ベランダに白い煙が立ちこめ,どこからともなく怪しげな人影が窓辺に舞い降りる。

ガタン。マントを身にまとった悪魔が手すりにつまずき,着地に失敗する。見た目どことなく愛嬌のある雰囲気を醸し出している。

アヤカ:そこにいるの,誰?

悪魔:イタタッ。(悪魔,アヤカの姿を目にし,背筋を伸ばしてシャンと立つ) 邪悪な人たちの悪魔信仰の祈りで甦った,私は悪魔です。中世ヨーロッパより時空を越えてあなた様の願いを叶えにやってきました。

アヤカ:願いを,叶えに...? 何それ?

悪魔:何それではありません。何でも好きな願いをひとつ叶えて差し上げるのです。

アヤカ:ああ,それであたしの魂と交換する気なんだ。あなたにあげるものなんて何にもないよ。

悪魔:いいえ、私はただ願いを叶えて差し上げるのです。

アヤカ:怪しいよ,そんな話.....。

悪魔:では,まず証拠をご覧に入れましょう......ウウウン。(悪魔,アヤカの心を読みとろうと意識を一点に集中させる) 北欧でオーロラが見たいのですね。

アヤカ:何でわかったの??

悪魔:(アヤカの答えを無視して) これから中世の北欧に参ります。壮大なオーロラをご覧に入れましょう。アーラトワーニー。(矢継ぎ早に呪文を唱え,悪魔,マントを翻し疾風を巻き起こす)

アヤカ:ちょっと待ってよ。やだー。キャーーーー。

 アヤカと悪魔,一瞬にしてベランダから消える。


 気がつくと,二人は時空列車の座席に座っている。通路を挟んだ向かいの席には,サンタクロースがプレゼントの袋を抱えて窓の外を眺めている。

後ろの座席にはノストラダムスがペテンの罪で手錠をかけられ座っている。通路をお腹の大きな聖母マリアが歩いている。

イエス=キリストを21世紀に復活させるため,バチカン市国に向かっているところだ。

 窓外では暗黒の時の流れの中,西暦2013年版「時のオーロラ」をなびかせながら騎馬隊が,アレクサンダー大王を先頭に,グリニッジ天文台に向かっている。

悪魔:毎年この時期になると,カウントダウンに間に合うように,彼ら「時の番人」はオーロラを運んでいくのです。



アレクサンダー大王がやってくる。
騎兵隊を従えて、時間城をあとにする。

太陽風に煽られた「時のオーロラ」をなびかせながら、
暗黒の時空間を翔け抜ける。

色とりどりのオーロラで、グリニッジの空を覆うとき、
新たな時の流れが、ふたたび始まる。

我こそは、世界標準時を司る
アレクサンダー大王なり。



アヤカ:あの後ろに座っている人,どこかで見たことあると思ったら,ノストラダムスじゃない? テレビで見たことあるんだけど。

悪魔:よくわかりましたね。やつはあることないことウソをついては人々を不安に陥れるので,ペテンの罪で逮捕され,時空法廷にかけられるのです。


サンタクロース,アヤカに気がつき,袋から楕円形のペンダントを取り出す。

サンタクロース:お嬢さん,これを差し上げよう。

アヤカ:これは何ですか?

サンタクロース:これは人の心を映し出すペンダントじゃ。お嬢さんの味方の前では,この水晶が青く光るのじゃ。彼らはあなたを守ってくれることじゃろう。

アヤカ:わあ,きれい。ありがとう。

 アヤカ,サンタクロースからペンダントを渡され,それをポケットにしまおうとする。


 ゴゴゴゴゴー。突然,車両が小刻みに揺れだし,何かとてつもなく大きなものが列車に近づいて来る。

ノストラダムス:オオオッー,あれを見ろ!ついに恐怖の大王がやって来たぞ。目指すはイスタンブールだ。

恐怖の大王が自軍の騎馬大隊を引き連れ,イスタンブールに向かっている。

アヤカ:イスタンブールって?

悪魔:イスタンブールとは、その昔、アジアとヨーロッパが交錯し、ぶつかり合った地です。

イスタンブールのとあるところに,2つの世界がぶつかり合った時にできた「時空の歪み」が残っています。彼らはきっとそこから三次元世界に入り込むつもりでしょう。


 ノストラダムス、おもむろに立ち上がり、大声で叫ぶ。

ノストラダムス:待っていたぞ恐怖の大王!20世紀最大のペテン師と呼ばれた、このノストラダムスの予言が実行される時がついに来たのだ。

大地震と疫病と飢餓と,そして最後に核戦争が地球を覆い尽くすのだ。私の予言を聞き入れなかった人類は破滅だ。アハハハーーー。


恐怖の大王率いる騎馬大隊,「時のオーロラ」に突入し,ズタズタに蹴散らす。

アヤカ:2014年が来ないと,あたし20歳になれな〜い。成人式でせっかく着物着るのに....。恐怖の大王なんか大っ嫌い。


 騎馬大隊,「時のオーロラ」を破壊し,轟音と共に列車のほうに向かってくる。騎馬隊の先頭が列車にぶつかり,車両が激しく揺れる。アヤカも悪魔もまっすぐ座っていられない

アヤカ:こわーーーーーーーーい。キャーーーーーー。

 列車の前方の車両は,悲鳴と怒号が渦巻き、騒然とする。


カチカチカチ,居間の掛け時計が時を単調に刻んでいる。

アヤカ:はっ!

アヤカ,居間のソファーの上で目を覚ます。が,バランスを崩しソファーからずり落ちる。ドタっ。額には大粒の汗が噴き出している。

アヤカ:イタタッ!......夢か.....変な夢。

 アヤカ,上半身を起こし,片手をソファーについて起きあがる。腰の辺りをさすっていると,スカートのポケットから鎖が出ているのに気づく。

それをつまんで引き出すと,楕円形のペンダントが鎖につながれ,目の前を左右に揺れていた。

アヤカ:マジ?!
posted by 佐藤 at 17:58| Comment(0) | TrackBack(0) | 雑記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

再生

 恵比寿にある高層マンションの一室にリョウコはいた。夜の東京は美しかった。

昨日の夜からテレビはついていた。真っ暗な部屋の中で,テレビ画面から放出される光線が,ポトスの影を壁に映し出し,CMの画面が変わるたびに,赤や青の光が白い壁で踊っていた。

 昔の映画を放映していた。寝るときはいつも携帯電話を握りしめて,それを目の前に置いていた。

 携帯電話のボタンを押し,エメラルドグリーンに光る画面で時刻を確認する。明け方の4時になろうとしていた。

 何で目が覚めたのかわからず,夢を見ていたのかなと考えても何も思い出せない。眠い。いつから思っていることを声に出して言うようになったのだろう。

 画面が代わる。知らない間にまた眠っていた。

 最近,都内の20代の女性を中心に原因不明の伝染病が流行しています。この病気を発病した女性は「眠い」と言いながら,静かにイスやソファーに腰掛けます。

 そして,ゆっくりまぶたを閉じ,寝息を立て,そのまま意識不明に陥ります。その後,何週間も植物人間の状態が続くということです。

 今年に入って,植物人間になった女性の数は43人に達しています。

 原因は未だに解明されていませんが,病院関係者によると発病した女性に共通している特徴は,今の社会に適合できないで悩んでいるか,あるいは幼少の頃のトラウマが原因で心療科に通院した経験があるというということです。

 あたしも意識がなくなるのかな? テレビを見ながらリョウコは思った。

 リョウコには予感があった。あたしはほかの人と違う,といつも感じていた。おいしい料理の話をしても,きれいな洋服の話をしても,友達のことを話していても,いつも違和感を感じていた。

 それは,服のセンスが違うとか,性格が違うとか,考え方が違うとか,そんなものではなかった。

 服を脱いで,皮膚を剥いで,心臓を引き千切って,脳をぐちゃぐちゃにつぶして,そうしてやっと姿を現す小さな水晶玉のようなものがある。

 それがそれがリョウコのコアだった。リョウコにはそれが何であるのかわかっていなかった。それが漠然とリョウコにまとわりつく不安の原因だと薄々感づいていた。

 それを取り出せば,ほかの人と同じになれるんだろうと思っていた。でも,それはいちばん大切で,どうしても捨てられなかった。

 リョウコは,ある時,自分の不安をわかってもらおうと,それのことを文に書いた。それを見てもらおうと絵を描いた。それを感じてもらおうと曲を作った。

 でもうまくいかなかった。焦っていた。誰かにわかってもらわないと,この世界との接点がなくなると,あとは死ぬしかないと思っていた。

 リョウコは,大学ノートを広げ,それを描こうとした。ジッとノートを見つめ、メビウスの輪を描いてみた。

 それを目で追った。グルグルといつまでも終わることがなかった。私の堂々巡りの考えと似ていると思った。答えは決して出てこない。ただ回っているだけ。

 リョウコは眠くなってきた。だんだんまぶたが重くなってきた。目をつぶれば気持ちいいな,いいや,つぶろう。さっき見たニュースを思い出した。「眠い」と言ってみた。

 突然,携帯電話のベルが鳴った。その音がリョウコの脳の中にある,ある成分に化学反応を強要した。

リョウコはとても眠くなり,ドアの向かいにあるベッドに腰掛けた。だらんと両腕を垂れ,ゆっくりまぶたが落ちていった。

 全身の力が抜けていくのは意識の中でわかったが抵抗はできなかった。

 リョウコの意識は途切れていない。意識と肉体は完全に乖離していた。真っ暗な視界の中,光が射し込め,マント姿の男が照らし出される。

 シルクハットをかぶり,男,青く澄み切った海と空に続く扉を開く。扉の向こうの水平線に,帆船がゆったりと航行している。

 女性,ドアの向こうに広がる紺碧の海を見つめる。波頭に太陽光が反射し,思わず目を細める。

女性:まぶしい。

 女性の顔の表情は穏やか。何もかも捨てて,そのまま海面を歩いて水平線まで行けそうな気がしている。


女性:扉の向こうはどこなの?見たことがある景色。

マント姿の男:目の前には生命の泉が広がっている。

女性:生命の泉?

マント姿の男:そう,生命の鎖がメビウスの輪となっている,終わらない泉だ。これからきみは生まれ変わるのだ。




目の前に、生命の泉が広がっている

生命の鎖が、メビウスの輪をなす

終わることのない泉


コウノトリが、水辺に佇み

新しい命を待ちわびる

いまだ名もない子を授けに

祝福を約束された、その地に舞い降りる


水面に風が渡り、辺りがざわめき出す

森の番人が、誕生を告げる鐘を鳴らし

夜明けとともに、祝祭が始まる



さあ,そろそろ目覚めようか。



 女性は遠くを見つめたまま,何かを思い出したよう。


女性:私,死にたかったの。

マント姿の男:君のいる世界は,邪悪な世界だ。嘘と欺瞞と不誠実と依存に満ちた....

 こんなところにいたら,自ら発狂するか,さもなくば妥協と偽りの汚物の中に身を浸して,いやらしい愛想笑いに慣れるかだ。

女性:息苦しい,どうしても違和感があるの。

マント姿の男:この社会と折り合いをつけることは大切なことではない。違和感は魂の抵抗だ。トラウマは優しさの証だ......今からお前は生まれ変わるのだ。

 マント姿の男,女性の左手をとり,甲に歯をたてる。女性の皮膚がわずかに破け,一筋の血が流れ出る。


女性:痛い。

マント姿の男:これは再生の印だ。現世のお前の肉体はもう植物人間と化している。

私がリセットボタンを押した。お前はもう一度,今度は「変革者」として生まれ変わるのだ。

社会と折り合いをつけるのではなく,お前が社会を変えるのだ。お前に勇気と愛を与えよう。

悪魔がささやくこざかしい浅知恵や,欲深な心に毒されるな。安定した幸せなどどこにもない。

女性:いや。もういいの。

マント姿の男:君のやさしさはこの世界には向かない。大人になどなる必要はない。

お前を遠い過去の世界へ連れて行こう。あるいは遠い星の彼方に連れて行こう。

お前の居場所は必ず用意されている。

時空鉄道に乗りなさい。時を越え,空間を越え,旅に出るのだ。

 女性,マント姿の男に導かれるまま,ドアの向こう側に足を踏み入れる。床はない。踏み出した右足から真っ逆さまに落ちていく。


女性:キャアーーーーーーーー。
posted by 佐藤 at 17:47| Comment(0) | TrackBack(0) | 雑記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2013年08月22日

誕生日

誕生日


1つ、2つとろうそくに火を灯し、

数えて14になりました。


その姿は、時とともに輝きをまして、

今では、暗い洞窟の中も、

まばゆいほどに照らし出します。


銀河系から、ノアの箱船に乗ってやってくる、

精霊たちを迎えましょう。


わたしたちは、ナイセ川の辺で採れたハチミツをあげる。

ぼくは、サザエの貝に詰めた「神様たちの歌」がプレゼント。


暗い森の奥、14本の明かりが夜通し灯っていました。
posted by 佐藤 at 22:43| Comment(0) | TrackBack(0) | 雑記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

自由

自由


首筋が汗で濡れていた。

木漏れ日が,幼い頃の夏の記憶を呼び覚ます。

ジリジリと鳴く蝉の声が,

境内へと続く参道に導く。



夏の時間をもてあまし,

約束した夜の花火だけを待ちこがれる。

すべては花火のためにある。

氷がグラスにはじける音が,ヒンヤリと意識を刺激する。

頬張った氷を奥歯で砕き,破片が喉を通り越す。

体の温度が徐々に下がる。



10歳の僕は何でもできる気がしていた。

空さえ飛べると信じてた。

遙か海の彼方まで。



ジリジリと照りつける太陽の下,ついに僕は解放された。
posted by 佐藤 at 22:36| Comment(0) | TrackBack(0) | 雑記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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