2006年03月07日

音の変化<消失>

<消失>


《語尾が子音(破裂音)+語頭が子音》

  ラスト     トリップ     トゥ      ニューヨーク

l a s t  t r i p  t o  N e w  Y o r k
  ラス( )     トリッ( )     トゥ

ここで破裂音の説明をします。


破裂音とは[p]音−[b]音[k]音−[g]音[t]音−[d]音の6つです。

すべて「アエイオウ」ではないので子音になります。

例えば[p]音は上下の唇を閉じて、息を口の中に溜め込み、その空気を一気に破裂させるように唇を開いて、外に吐き出します。「プッ」という感じです。

目の前にティッシュを垂らして、そのティッシュ目がけて「プッ」と吐き出すとティッシュがなびいて揺れ動きます。

同じ口や唇の形で声帯を震わせて「ブッ」のように発音すると[b]音になります。のど仏のあたりに指をそっとあてがうと声帯が震えているのがわかると思います。

[k]音は口の奥とのどの入り口の辺りの気道をふさいで息を溜め込み、一気に破裂させるように吐き出します。

同じ形で声帯を震わせると[g]音になります。


[t]音は下を上あごの裏につけて気道をふさぎ、やはり一気に破裂させるように吐き出します。

同じ形で声帯を震わせると[d]音になります。


last trip to New York は「この前のニューヨークへの旅行」という意味です。

last trip to New Yorkを1語1語発音すると、lastは「ラスト」、tripは「トリップ」、toは「トゥー」、New Yorkは「ニューヨーク」ですから、「ラスト トリップ ニューヨーク」のように発音します。

ところが実際の会話ではこのように1語1語はっきりと発音されることはありません。ナチュラルなスピードでは「ラス トリッ トゥ ニューヨーク」のように発音されます。どういうことでしょうか?

last の語尾の音は、[t] 音で子音(特に破裂音)です。

trip の語頭の音は [t] 音で子音(特に破裂音)です。

英語では語尾が子音(特に破裂音)の語と、語頭が子音(特に破裂音ということはない)の語が連続して発話されるとき、前の語の語尾の子音である破裂音は消える傾向にあります。

ここでは、[t]音と[t]音が連続して発話され、前の[t]音が消えて「ラス( )トリップ」のような音になります

lastの語尾の[t]音は厳密には消えるですが、その分の間みたいなものが残っています。「ラストリップ」というよりは「ラス トリップ」のようにlastの[t]音を心の中で言う感じです

またtripの語尾の音は、[p]音で子音(特に破裂音)です。

toの語頭の音は[t]音で子音です。

ここでも語尾の子音(特に破裂音)と語頭の子音(特に破裂音ということはない)の語が連続して発話されるとき、前の語の語尾の子音である破裂音が消える向にあります。

ここでは[p]音と[t]音が連続して発話され、前の[p]音が消えて「トリッ( )トゥ」のような音になります

全体として「ラス( )トリッ( )トゥ ニューヨーク」のような音になります。

ここで語尾の子音が破裂音のとき、この消失が顕著ですが、破裂音以外の子音が語尾の音でも起こる現象です。


この音の変化のことを音声学では「消失」といいます。

前の単語の語尾の子音が消えて、その分の間みたいなものが空くからです。
posted by 佐藤 at 10:03| Comment(4) | TrackBack(0) | 要素研究 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
ちょっと脱線しますがコメントします。

この解説してもらった現象を音声学で「消失」と
言うのは、一般的な傾向でしょうか?
今は、そのように訳すのが一般的ですかね。

まもるは言語学が専門で音声学はそれほどでも
ないのですが、古くからある専門書などでは、
「欠落」とか「脱落」とか呼ばれているかと
思います。「elision」の訳でしょうから、
「消失」っていうのも変ではないですが。

まもるは、とあるきっかけで、リスニング系の
英語書籍を読み漁る機会があったのですが、
最近のリスニング解説本では「消失」とか呼んで
いたものがいくつかあったように記憶しています。
実は、そのときにも「ん?」と思ったのですが
「まぁ、音声学の専門書でもないし、読者に
読みやすくしているんだろう」くらいに流して
いました。日本の音声学的にも今は「消失」
ですかね。



Posted by まもる at 2006年03月08日 02:56
この「消失」は、”音が消える”という意味で
とらえると要素として取り上げるときに
どのくらい分類するかは課題になるかもしれ
ません。

破裂音だけの場合だけでもないですし(例えば
「exactly」が「イクザクリ」みたいに、
破裂音+t or d+子音、の場合など)
単語の中でも起こりますよね(例えば「asked」
が早口のときに「アストゥ」)。

これは大切なテーマですが、分類したり、
それに沿った効果的な例文を作るときには、
議論したほうがいいみたいですね。
Posted by まもる at 2006年03月08日 03:07
破裂音の種類はどうして6つなのか、教えてください。まもるさんなりの答えで結構です。お願いします。
Posted by 油科里衣 at 2006年05月18日 14:47
まもるさんが忙しいようなので、取り急ぎ私なりに答えます。

読んで字のごとく、破裂するように発音する音です。

唇を閉じて息が出て行くの塞ぎ、空気が充満したところで、唇をはじくように開き一気に空気を吐き出すときに生じる音が [p] 音です。

同じプロセスで、声帯を震わせて音を出すと、 [b] 音になります。

目の前にティッシュを垂らすと、吐き出した瞬間にティッシュが突風に吹かれたように翻ります。まさに破裂する感じです。



舌先を歯茎につけ息が出て行くのを塞ぎ、空気が充満したところで、舌をはじくように開き、一気に空気を吐き出すときに生じる音が [t] 音です。

同じプロセスで、声帯を震わせて音を出すと、 [d] 音になります。

舌の付け根のほうを軟口蓋(歯茎より奥の部分)につけ息が出て行くのを塞ぎ、空気が充満したところで、舌の付け根をはじくように開き、一気に空気を吐き出すときに生じる音が [k] 音です。

同じプロセスで、声帯を震わせて音を出すと、[g]音になります。

大雑把に言うと、気道を塞いで息を溜め込んで一気に吐き出す音が破裂音です。

どこで息を止めるかということで、どんな破裂音になるのかが違ってきます。

唇のところで息を止めるのか、歯茎のところで息を止めるのか、歯茎の付け根のところで息を止めるのか。

人間の口の中で、気道を塞ぐことができるのはこの3箇所だと思います。そして、その3通りの破裂音のプロセスで声帯を震わせると、にごった音になります。

つまり、3×2=6で、破裂音が6つあると思います。

人間の口の作りから、気道を塞げる箇所が3箇所あり、それぞれ声帯を震わせることで×2になります。


Posted by 佐藤 at 2006年05月19日 21:59
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