2013年09月27日

イスタンブールの骨董屋

 イスタンブールは朝から曇天だった。イスタンブールの路地。石畳の通りが続く坂道。路面電車の走る音が大通りから微かに聞こえてくる。日本人観光客の若い男女(タカシとトモ)がカサをイスタンブールの路地を歩いている。丘の上のモスクからコーランがかすかに聞こえてくる。

It was cloudy in the morning in Istanbul.  There is a young Japanese couple walking along the cobblestone alley downtown.  They appeared to be tourists.  The Koran could be heard somewhere beyond the hill.



トモ:ラマダン(断食)明けで,まだ人もまばらね。
タカシ:天気も悪いし,なんかユーウツだよな。店もあんまりやってないし。とても観光に来た感じじゃないよ。

Tomo: There are few people downtown right after the fasting month of Ramadan is over.

Takashi: The weather is awful and I feel depressed somehow.  Few stores are open.  I don't feel like doing sightseeing in Istanbul.



木の上の黒い鳥がバサバサと羽ばたいて飛んでいく。

トモ:ねえ,あの店から出てくる人見てよ。顔色が真っ青。目もうつろで、まるで死人みたい。

タカシ:あの店,何だろう?中が薄暗いけど

トモ:なんか骨董屋みたいね。

タカシ:ワクワクするな。ちょっと中に入ってみようよ。

トモ:怖くない?(しばし沈黙)ねえ,やめようよ。

The big black bird is flying away from the top of the tree.

Tomo: Look at the man getting out of that store.  He looks pale with a vacant look in his eyes.  He looks like a dead man.

Takashi: What shop is that?  It's dark inside.

Tomo: It looks like an antique shop.

Takashi: I'm beginning to feel excited.  Let's get into the shop.

Tomo: Don't you feel scared?  (a long silence)  No, let's not.



<店内 カチ、カチ、カチ、カチ(時を刻む音)>

トモ:いろいろアンティークな時計があるけど、指してる時刻は全部バラバラね。これ,壊れてるの?

店の主人:この店の中では,いろいろな「時」が同時に進行してございます。「時」が錯綜しているのです。

トモ: (タカシに)どういう意味?

タカシ:わかんない。

<Inside the shop, tick tock, tick, tock, tick, tock …….>

Tomo: There are various kinds of antique clocks.  But they point to different times.  Are they all out of order?

The shop owner: In this shop various kinds of “time” are going on simultaneously.  It means times are conflicting.

Tomo: What does it mean?

Takashi: I don't know.



<トモとタカシ,店の奥に進む>

トモ:あの人,どこかで見たことがあるわ。そう思わない?

タカシ:俺もどこかで見たような気がするんだけど,思い出せないんだ。誰だろう?

トモ:テレビで見たような気がするんだけど....何か歯がゆくて,いやな感じね。

<Tomo and Takasih proceed into the back of the shop.>

Tomo: I might have seen him somewhere.  He looks familiar.  Haven't you seen him?

Takashi: I feel like I saw him somewhere before, but I can't remember.  Who is he?

Tomo: I think I saw him on TV, too.  I want to know.



<トモ,店の奥の部屋の前に来て>

トモ:この部屋は何ですか?

店の主人:これは「時空の間」と申します。

トモ:時空の間?

店の主人:イスタンブールとは、その昔、アジアとヨーロッパが交錯し、ぶつかり合った地で、ちょうどあの部屋に、2つの世界がぶつかり合った時にできた「時空の歪み」がございます。そして、部屋の丸天井にあるその歪みに,あなた様の未来が写し出されるのです。

<Tomo is in front of the room in the back.>

Tomo: What room is this?

The shop owner: It is called a time-space room.

Tomo: A time-space room?  What is it?

The shop owner: Istanbul is a place where Asian culture and European culture conflicted each other a long time ago and a “time warp” was generated in the room when two worlds collided.  And you can see your future projected on the warp of the vault of the room.



(店主,視線を店の奥に向け,その視線をトモに戻す)

店の主人:つまり、あなた様の「死」をご覧になることができるのです。

タカシ:さっき,真っ青な顔をした男が店から出てくるのを見たけど。

店の主人:あの男は、明日,自分が死ぬことを見てしまったのです。(トモに向かって)お嬢さん、「時空の間」に入ってみる勇気はおありですかな?

トモ:えっ?私が?....え,え,遠慮しておきます。

タカシ:俺が入ってみるよ。

トモ:ええーっ!?...だったら,あたしも一緒に行く。

(The shop owner turned his eyes on the room in the back and back to Tomo)

The shop owner: In other words, you can see the scene where you die.

Takashi: I saw a man with a pale face going out of the shop.

The shop owner: He saw the scene where he will die tomorrow.  (Turning his face to Tomo)  Do you have enough courage to enter the time-space room?

Tomo: What?  Me?  No way!

Takashi: I will enter the time-space room.

Tomo: Really?  Then I'll enter it, too.



<2人,部屋の中に入る。1分後>

タカシ:何も見えないじゃないか。....あいつ,何言ってんだよ。 

トモ:何も見えないってことは....どういうこと? 

タカシ:真っ暗ってことは....俺たち死ぬのかな?

<They enter the room. One minute later.>

Takashi: I can't see anything.  What was he talking about?

Tomo: Neither can I.  What does it mean?

Takashi: There is nothing on the warp that should show us how we will die?



ゴゴゴゴー。どこからともなく聞こえてくる地響きとともに,激しい揺れが骨董屋を襲う。2人,立っていられず,たまらず床にしゃがみ込む。

トモ:キャーッ!!

A roaring sound is coming from somewhere and the antique shop shakes intensely.  Takashi and Tomo can't stand and fall down on the floor.

Tomo: Augh!!



<丸天井の漆喰が崩れ落ち,その先に果てしない闇が広がっている。ギギギギー,ガチャン,ガチャン,ガチャン,ギギギギー,ガチャン。闇の向こうから歯車がかみ合うような音が聞こえてくる>

トモ:何の音なの?......アアーッ,タカシ,思い出した。あの店主....。

タカシ:何だよ。

トモ:ノストラダムスよ。よくテレビで特番やってたじゃない。あの顔はノストラダムスの顔よ。

タカシ:ああ,そうか。でも,ノストラダムスって,大昔の人だぜ。生きているわけないじゃないか。

トモ:でも,確かにあの顔はノストラダムスの顔よ。

<The vault collapses and there is endless darkness widespread beyond.  A gearing sound is coming from beyond the darkness>

Tomo: What is that sound?  Oh, I remember. That shop owner ….

Takashi: What happened?

Tomo: He is Nostradamus.  I often saw him in the special programs.  He really looks like Nostradamus.

Takashi: You are right.  But Nostradums was a man a long time ago.  He can't be alive now.

Tomo: But he is the real Nostradums.



<ギギギギー,ガチャン,ガチャン,ガチャン,ギギギギー,ガチャン>

店の主人:あなた様たちはとても幸運な方たちだ。今まさに20世紀が21世紀に変わろうとしている瞬間に立ち会っているのですぞ。

The shop owner: You are very lucky to be here and see what is happening.  Right now the 20th century is turning into the 21st century.



<ヒヒヒヒーン,パカラ,パカラ,パカラ,パカラ。ヤーッ。ドドドドー。武装した騎馬隊が,丸天井の先に広がる暗闇からトモとタカシの方に向かってくる>

店の主人:待っていたぞ、恐怖の大王!ついに21世紀軍が大地震ととも,核戦争と疫病と飢餓を従えて,闇の王国からやってくるのだ。20世紀最大のペテン師と呼ばれたこのノストラダムスが,真の予言者となる時が来たのだ。私の予言を聞き入れなかった人類は滅亡だー。アハハハハー。

An armed cavalry is invading somewhere from the darkness through the vault, toward Takashi and Tomo.

The shop owner: I've been waiting for you, the Great King of Terror!  The army of the 21st century is coming from the dark kingdom with great earthquakes, nuclear wars, plagues and famines.  I am Nostradamus.  I'm called the greatest fake of the 20th century.  This is the time I become a real prophet.  The human beings will be ruined because they couldn't believe what I prophesied.



<ガガガー,ガチャン,ガチャン,20世紀から21世紀へ「時の歯車」がシフトされる。ドドドドドー。騎馬隊が「時空の間」になだれこんでくる>

トモ:キャー!

タカシ:ギャー!

恐怖の大王:アレクサンダーなど,我らの手にかかればたわいのない赤子も同然だ。大王率いる騎馬大隊は血祭りにしてくれた。全滅だ。

血に飢えたしもべ達よ!中東に向かうのだ。エルサレムの大地をズタズタに引き裂いてやれ。

出でよ、アフガンへ。偶像など根こそぎ破壊してしまえ。

バルカンに火を放て。くすぶる人種差別の火種に火薬を投げ込み,ヨーロッパ全土を焼き尽くすのだ。

ついに人類破滅の時が来た。2001年はこれで終わった。人類を再び暗黒の世界に引きづり込んでやる。ただ暗黒だけが貴様ら人類を覆うのだ。地球再生の始まりだ。

The Great King of Terror: My servants!  You are filled with bloodlust.  Go to the Middle East.  Tear apart the land of Jerusalem.  Go to Afghan.  Destroy icons to pieces.  Set fire on Balkan.  Throw explosives to the flashpoint of racial discrimination and burn down all of Europe.  The time has come when human beings will be ruined.  I'll pull human beings into the darkness.  Total darkness will cover all of you.  The earth will start to be reborn.



<恐怖の大王,歯をむき出しにして,時空間からこの世に突入してくる。まるで狂犬のようだ。>

恐怖の大王:イエスもダライ(・ラマ)もマホメットも,救いになどなるものか。神のご託宣などたくさんだ。暗黒の中に貴様らもろとも引きずり込んでやる。人類は救いのない絶望と恐怖の中で,息を潜めて死んでいくのだ。アハハハハーーーーー。
寄る辺なきこの21世紀,すべては恐怖と絶望から始まるのだ。破壊だ,破滅だ。
恐怖の大王,髪が逆立ち,目はどす黒い光を放ち,

<The Great King of Terror bursts into this world from the darkness with teeth bared.  He looks like a mad dog.>

The Great King of Terror: We've had enough of oracles

どうやって人類を救済する話に持って行こうか?










posted by 佐藤 at 17:30| Comment(0) | TrackBack(0) | 雑記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

イスタンブール、3つの物語

東京,某月某日 21時52分。

 アヤカ、友だちが北欧でオーロラを見る旅行に行く。うらやましく思う。

 シュルシュルシュル....バーン。バッ。ベランダに白い煙が立ちこめ,どこからともなく怪しげな人影が窓辺に舞い降りる。

ガタン。マントを身にまとった悪魔が手すりにつまずき,着地に失敗する。見た目どことなく愛嬌のある雰囲気を醸し出している。

アヤカ:そこにいるの,誰?

悪魔:イタタッ。(悪魔,アヤカの姿を目にし,背筋を伸ばしてシャンと立つ) 邪悪な人たちの悪魔信仰の祈りで甦った,私は悪魔です。中世ヨーロッパより時空を越えてあなた様の願いを叶えにやってきました。

アヤカ:願いを,叶えに...? 何それ?

悪魔:何それではありません。何でも好きな願いをひとつ叶えて差し上げるのです。

アヤカ:ああ,それであたしの魂と交換する気なんだ。あなたにあげるものなんて何にもないよ。

悪魔:いいえ、私はただ願いを叶えて差し上げるのです。

アヤカ:怪しいよ,そんな話.....。

悪魔:では,まず証拠をご覧に入れましょう......ウウウン。(悪魔,アヤカの心を読みとろうと意識を一点に集中させる) 北欧でオーロラが見たいのですね。

アヤカ:何でわかったの??

悪魔:(アヤカの答えを無視して) これから中世の北欧に参ります。壮大なオーロラをご覧に入れましょう。アーラトワーニー。(矢継ぎ早に呪文を唱え,悪魔,マントを翻し疾風を巻き起こす)

アヤカ:ちょっと待ってよ。やだー。キャーーーー。

 アヤカと悪魔,一瞬にしてベランダから消える。


 気がつくと,二人は時空列車の座席に座っている。通路を挟んだ向かいの席には,サンタクロースがプレゼントの袋を抱えて窓の外を眺めている。

後ろの座席にはノストラダムスがペテンの罪で手錠をかけられ座っている。通路をお腹の大きな聖母マリアが歩いている。

イエス=キリストを21世紀に復活させるため,バチカン市国に向かっているところだ。

 窓外では暗黒の時の流れの中,西暦2013年版「時のオーロラ」をなびかせながら騎馬隊が,アレクサンダー大王を先頭に,グリニッジ天文台に向かっている。

悪魔:毎年この時期になると,カウントダウンに間に合うように,彼ら「時の番人」はオーロラを運んでいくのです。



アレクサンダー大王がやってくる。
騎兵隊を従えて、時間城をあとにする。

太陽風に煽られた「時のオーロラ」をなびかせながら、
暗黒の時空間を翔け抜ける。

色とりどりのオーロラで、グリニッジの空を覆うとき、
新たな時の流れが、ふたたび始まる。

我こそは、世界標準時を司る
アレクサンダー大王なり。



アヤカ:あの後ろに座っている人,どこかで見たことあると思ったら,ノストラダムスじゃない? テレビで見たことあるんだけど。

悪魔:よくわかりましたね。やつはあることないことウソをついては人々を不安に陥れるので,ペテンの罪で逮捕され,時空法廷にかけられるのです。


サンタクロース,アヤカに気がつき,袋から楕円形のペンダントを取り出す。

サンタクロース:お嬢さん,これを差し上げよう。

アヤカ:これは何ですか?

サンタクロース:これは人の心を映し出すペンダントじゃ。お嬢さんの味方の前では,この水晶が青く光るのじゃ。彼らはあなたを守ってくれることじゃろう。

アヤカ:わあ,きれい。ありがとう。

 アヤカ,サンタクロースからペンダントを渡され,それをポケットにしまおうとする。


 ゴゴゴゴゴー。突然,車両が小刻みに揺れだし,何かとてつもなく大きなものが列車に近づいて来る。

ノストラダムス:オオオッー,あれを見ろ!ついに恐怖の大王がやって来たぞ。目指すはイスタンブールだ。

恐怖の大王が自軍の騎馬大隊を引き連れ,イスタンブールに向かっている。

アヤカ:イスタンブールって?

悪魔:イスタンブールとは、その昔、アジアとヨーロッパが交錯し、ぶつかり合った地です。

イスタンブールのとあるところに,2つの世界がぶつかり合った時にできた「時空の歪み」が残っています。彼らはきっとそこから三次元世界に入り込むつもりでしょう。


 ノストラダムス、おもむろに立ち上がり、大声で叫ぶ。

ノストラダムス:待っていたぞ恐怖の大王!20世紀最大のペテン師と呼ばれた、このノストラダムスの予言が実行される時がついに来たのだ。

大地震と疫病と飢餓と,そして最後に核戦争が地球を覆い尽くすのだ。私の予言を聞き入れなかった人類は破滅だ。アハハハーーー。


恐怖の大王率いる騎馬大隊,「時のオーロラ」に突入し,ズタズタに蹴散らす。

アヤカ:2014年が来ないと,あたし20歳になれな〜い。成人式でせっかく着物着るのに....。恐怖の大王なんか大っ嫌い。


 騎馬大隊,「時のオーロラ」を破壊し,轟音と共に列車のほうに向かってくる。騎馬隊の先頭が列車にぶつかり,車両が激しく揺れる。アヤカも悪魔もまっすぐ座っていられない

アヤカ:こわーーーーーーーーい。キャーーーーーー。

 列車の前方の車両は,悲鳴と怒号が渦巻き、騒然とする。


カチカチカチ,居間の掛け時計が時を単調に刻んでいる。

アヤカ:はっ!

アヤカ,居間のソファーの上で目を覚ます。が,バランスを崩しソファーからずり落ちる。ドタっ。額には大粒の汗が噴き出している。

アヤカ:イタタッ!......夢か.....変な夢。

 アヤカ,上半身を起こし,片手をソファーについて起きあがる。腰の辺りをさすっていると,スカートのポケットから鎖が出ているのに気づく。

それをつまんで引き出すと,楕円形のペンダントが鎖につながれ,目の前を左右に揺れていた。

アヤカ:マジ?!
posted by 佐藤 at 11:51| Comment(0) | TrackBack(0) | 雑記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

広告


この広告は60日以上更新がないブログに表示がされております。

以下のいずれかの方法で非表示にすることが可能です。

・記事の投稿、編集をおこなう
・マイブログの【設定】 > 【広告設定】 より、「60日間更新が無い場合」 の 「広告を表示しない」にチェックを入れて保存する。


×

この広告は1年以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。